ドケルバン病とは?
ドケルバン病(De Quervain's disease)は、手首の親指側にある腱鞘が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる腱鞘炎の一種です。この症状は、親指を動かすたびに痛みが走るのが特徴で、特に抱っこや家事などの動作で痛みが増すことが多いです。
抱っこの手の使い方とドケルバン病
産後のママたちは、赤ちゃんを抱っこする機会が非常に多く、そのちょっとした手の使い方が腱鞘炎の発症に影響を与えます。以下のような手の使い方に注意が必要です:
- 親指を過度に使う: 抱っこするときに親指を広げたり、強く握ったりすると、親指の腱鞘に負担がかかりやすくなります。
- 手首を曲げる: 手首を過度に曲げて抱っこすることで、手首の腱鞘に負担がかかり、炎症が起こりやすくなります。
首や肩甲骨、背中のアライメントとドケルバン病
手首だけでなく、首や肩甲骨、背中のアライメント(整列)が崩れると、腕全体にかかる負担が増え、腱鞘炎が発生しやすくなります。具体的には以下のような影響があります:
- 首の緊張: 首の筋肉が緊張すると、肩や腕にかかる負担が増し、手首にまで影響が及びます。
- 肩甲骨の動きの悪さ: 肩甲骨が正しく動かないと、肩や腕の筋肉に負担がかかりやすくなり、腱鞘炎のリスクが高まります。
- 背中の姿勢: 猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腕にかかる負担を増大させ、腱鞘炎の原因になります。
当院での治療アプローチ
当院では、ドケルバン病に対する治療として、手首だけでなく、首や背中からアプローチすることが多いです。以下にその具体的な方法をご紹介します:
1. 首と肩甲骨の調整
首や肩甲骨のアライメントを整えることで、腕全体の負担を軽減します。具体的な治療法としては以下のものがあります:
- 手技療法: マッサージやストレッチを用いて、首や肩甲骨の筋肉をほぐし、正しいアライメントに整えます。
- 関節モビライゼーション: 関節の可動域を改善し、肩甲骨の動きをスムーズにします。
2. 背中の姿勢改善
背中の姿勢を改善することで、腕や手首にかかる負担を減らします。以下のアプローチを行います:
- 姿勢指導: 正しい姿勢を保つための指導を行い、日常生活での負担を減らします。
- 運動療法: 背中や腰の筋力を強化する運動を指導し、姿勢を改善します。
3. 手首の直接的な治療
もちろん、手首自体の治療も重要です。以下の方法で手首の痛みを緩和します:
- 低周波治療: 低周波の電気刺激を用いて、手首の痛みを緩和し、血流を改善します。
- 温熱療法: 手首を温めて筋肉の緊張を和らげ、炎症を軽減します。
- 固定: 手首のサポーターやテーピングを使用して、手首を安定させ、負担を軽減します。
まとめ
産後のドケルバン病は、抱っこの手の使い方や首や背中のアライメントが原因となりやすいです。当院では、首や背中の調整を重視し、手首だけでなく全身のバランスを整えることで、腱鞘炎の治療を行っています。お悩みの方は、ぜひ当院でご相談ください。私たちは、皆様の健康と快適な育児生活をサポートするために、全力でお手伝いいたします。
岸澤 裕太