14歳 男性 職業 バレー部
朝練中にボールをレシーブしようと右手指を床にぶつけて受傷
保健室で処置を受けて、すぐに当院を受診。
以下、来院時の患部の様子。
【初診時】
右五指基節骨基部にて圧痛(++)
五指全体で変形(++) 腫脹(++) 溢血(+) 安静時痛(+) 自動運動不能
とても変形と腫脹が強く、一目で骨折を疑いました。
が、見ただけではどこが損傷しているのか分かりかねる外観です。
痛みも局所的ではなく、指全体で訴えていました。
押して痛みが強い場所を探っていくと、基節骨基部(指の付け根のあたり)で強く痛みを訴えました。
エコー検査を実施。
背側(手の甲側、爪側)から診ると
ペンで補正すると
強く骨損を疑うGAPが見られました。
どのような状態かエコーだけでは分かりづらいと思いますので、イラストにします。
これが正常な指の状態です。
対して、今回の症例では
このような形で骨折してることになります。
また、PIP関節(いわゆる第二関節)は掌側に脱臼してズレています。
なかなか珍しい脱臼骨折でした。
【初回処置】
Repo アルフェンス固定
患者さんにはベッドで仰向けになってもらい、骨折して手のひら側に落ちてしまった骨を引き出すようにRepo(整復。骨を正しい位置に戻すこと)を行いました。
Repoした直後の患部がこちらの写真です。
来院時のような腫れと変形がキレイに取れていることが分かります。
ちなみに、もう一度見比べると
かなり変化が分かるかと思います。
エコー画像でも
例のごとく、ペンで補正してRepoを行う前後を比較すると
Repo前にはあった骨のズレが取れて真っすぐになっていることが分かります。
安静にしても強かった痛みも取れていました。
良好な骨の位置に戻せたと判断し固定に入ります。
アルフェンスという、医療用のアルミ副子で固定をし、レントゲン検査のために提携クリニックへ紹介状を作成しました。
【医師の診断結果】
基節骨基部骨折・PIP関節脱臼
今後のリハビリは当院でも行う事に同意して頂きました。
レントゲン画像は
やはり骨折がはっきりと確認できます。
脱臼は整復したために治っているので、このレントゲンでは分かりませんが、紹介状に添付した来院時の患部写真からしっかり脱臼の診断も頂けました。
ちなみに折れているのは
赤い丸で囲んだ部分です。
整復でしっかりと骨折でのズレが取れていて、良い位置(良肢位)に落ち着いているのが分かります。
このまま、ズレが再発しないようにしっかりと固定を続けることが必要になります。
【今後の治療計画】
翌日からLIPUSという骨折の治癒促進効果のある超音波を実施。
2週間で固定が外れ、現在は指の可動域改善、握力の強化を目的としたリハビリを継続中。
力も戻ってきており、夏の大会にも参加予定。
きしざわ接骨院
岸澤 裕太