13歳 男子 バスケット部
バスケット中に相手の膝が太ももの前面に入り受傷。
痛みがあるが我慢してプレーを続け、痛みが悪化。
当院を受診。
【初診時】
右大腿部前面中央にて
歩行痛(+)屈伸運動困難
圧痛(+)腫脹(+)
いわゆる
「モモカン」
を食らっての受傷。
打撲をしている事は明白でした。
問題は打撲のダメージが
「筋肉の範囲内」なのか
「骨にもダメージがあるのか」
を判断することと考えました。
エコー検査を実施すると
深部にとても嫌な映り込みがありました。
エコーのプローブの向きを変えて
右が患側。
ペンで補正すると
赤で囲んだ部分がに硬度の高い何かかがあるのが分かります。
一般的な腫れなら、水分が多いためエコーでは黒く映りますが、
今回は白く映っています(=硬い成分)
【検査結果】
骨化性筋炎と判断
※骨化性筋炎とは?
打撲や肉離れなどをすると筋肉内で内出血が起きます。
通常は安静にしていれば、そのまま内出血は吸収されて退いていきます。
しかし、そのまま無理に使ってしまったりすると内出血が多くなり、吸収されずに骨と同じ組織に移り変わってしまうことがあります。
つまり、筋肉内に骨が出来てしまうという事です。
【初回処置】
圧迫包帯 運動の絶対中止指示
専門医への紹介
※MRIの撮影可能なクリニックを紹介しました
【医師の診断結果】
骨化性筋炎
【その後の治療】
当院ではLIPUSを使い消炎を行いながら、回復に併せて周囲の筋組織の柔軟性を出すようにリハビリを行いました。骨化した組織が画像上はなくなっても、周囲との柔軟性に差が出たり、滑走が悪いままでは最悪再発も考えれられたためです。
幸いなことに本人の治癒力も強く、二ヶ月程度で運動復帰が出来るほどに回復しました。
この症例もエコー検査がなければ病状の進行度合いが判断できませんでした。
「テーピングやサポーターを使いながら痛みを抑えて、出来るだけ運動は続けられるようにしよう!」
と提案してあげることが、美徳だと考える接骨院の先生も多くいます。
その事に関しては全面的に賛成です。
しかし、エコー検査を含め必要な検査を何もせずに言ってはいけない言葉だと考えます。
検査結果から出た傷病を正しく理解し、その中でも出来るだけ運動できるようにサポートするのと、闇雲に運動させてしまうのでは雲泥の差です。
事実、今回のケースも本人は運動の継続を強く希望しており(セレクションがあったため)、適切な検査をせずに運動を続けさせていたらと思うと・・・
そのため、自院を持ち上げるわけではありませんがエコー検査が行えない接骨院は、同業の仲間とは言え恐ろしすぎて通院を勧められません。
皆様も治療院を選ぶ際に、判断材料のひとつとすることをお勧めします。
きしざわ接骨院 岸澤